フィールドミュージアムの理念でもある、早川町の地域資源を活用した町民の自主的な取り組みをサポートするための事業を行っていました。
平成14年から16年の3年間は、商品開発や起業をテーマに募集し、20以上の取り組みが生まれました。その後、早川の地域資源を活用したまちづくり活動が町内各所で展開され、その多くが早川町の新たな魅力として実を結んでいます。
平成17年からは、早川フィールドミュージアムの応援団組織である「早川サポーターズクラブ」の会費の一部を原資に、住民活動への助成を行っていました。
薬袋(みない)集落に移住し、早川本流でのラフティング事業(専用のゴムボートを使った川下り)をスタートさせた本流堂。事業を軌道に乗せるため、事務所兼ベースキャンプとなっている民家の庭に、ウッドデッキを建設しました。ボートの修理場所やお客さんが体や足を洗う場所として活用。
地元の中学生をラフティングに招待する等、早川の自然を活用したレジャーの楽しさを伝えています。
赤沢にオープンした新しい観光の拠点「宿の駅 清水屋」の活性化を目指した取り組み。
「あなたのやる気応援事業」の助成では、パソコン、プリンター等を整備して、ブログやフェイスブックなどインターネットを使った情報発信に取り組みました。
また、その機材を活用してお土産品の開発にも着手。赤沢の町並み等の写真を和紙に印刷した、雰囲気のある行灯型のライトができあがりました。
児童数の減少が著しい早川北小学校を存続させるため、保護者が「北っ子応援団」を立ち上げ、教育委員会の山村留学事業を一緒になって盛り上げました。具体的には、東京での田舎暮らしセミナーで山村留学生募集の情報発信をしたり、山村留学生の早川での生活に対する不安を取り除くために交流会を実施したりしました。
その成果もあり、活動当初は6名だった児童数が、なんと、1年後には18名に増えました。2年ぶりに入学式が行われたり、地元のお祭りも6年ぶりに復活したりと大きなニュースとなりました。
翌年、二度目の助成を受けます。山村留学の方々、地元の保護者、学校の先生、そして地域住民の交流をテーマに、8月に「北っ子夏祭り」を開催しました。助成金では、提灯等の備品を整備しました。来場者は約150名。よさこいグループの酔茶晴組、白鳳太鼓、早川ウインドアンサンブル、食生活改善推進委員など、地域の団体もお祭りを盛り上げてくれて、大盛況でした。
早川町産の素材を活用したケーキを製造販売する菓子工房ヤマセミ。雨畑茶や千須和のブルーベリー、山ぶどうなどを使ったケーキを開発、販売しています。
あなたのやる気応援事業の助成では、食事処やませみの一部を改装し、ケーキを食べながらくつろげるカフェスペースを整備しました。改装後は、近所の方がお茶をしに来ることも増えました。
草塩集落の休耕田を活用して、農作業のイベントを企画・実施しました。助成を受けた年は4回実施し、のべ38人の参加がありました。
田んぼの作業体験以外にも、草塩集落の方たちの協力のもと、餅つきや郷土料理づくりを織り交ぜたイベントとなりました。
平成26年度活用した休耕田は450平方メートル。耕作放棄地対策としても一役買っています。今後も、プログラムをより充実させながら実施していく予定です。
町の特産品「雨畑茶(あめはたちゃ)」で紅茶をつくり、新たな特産品にしたい!という取り組み。できあがった紅茶は、「味・香りが良い」と町内外から好評でした。販売した120缶は11月には完売。
今後は他の雨畑茶生産者に協力してもらうなどして増産の方法を検討していくとの事でした。「畑によっても味が変わる」と言われる紅茶。肥料の種類を変えてみたり、管理法の研修に行ったりと今後の品質向上に向け試行錯誤を重ねています。
問合せ:硯の里キャンプ場 TEL.0556-45-3256
■取り組みの内容
現在取り組んでいる日本ミツバチの養蜂をさらに拡大し、安定的に供給できる態勢を整える。
■助成期間内の活動
研修、熊よけの電気柵設置、蜜源の苗と種、養蜂具、商品にするための箱やビン、ラベル印刷機器を購入した。これによって、養蜂の規模を拡大するとともに、遊休農地等を利用し蜜源植物である菜の花、そばを栽培し農地の荒廃も食い止めた。
■その後の活動状況
その後、電気柵の外にある巣箱が熊に襲われたり、花の咲き具合など気候に左右されたりするものの、現在年間約100〜200kgの蜂蜜が採れるようになった。主な販売先は、これまでの顧客に加え、早川サポーターズクラブ等への通信販売である。発売後、2ヶ月足らずで売り切れるほどの人気で、購入者の大半がリピーターとなっているのも特徴であった。
しかし、平成21年に、早川町全体でミツバチ自体が原因不明の病気になるなど、群れの数が激減してしまった。現在は、群れを増やすところからの再挑戦中である。自然相手なので仕方のない面もあるが、常に養蜂技術の研究を重ねて行く必要がある。
また、商売という観点から言うと、日本ミツバチの蜂蜜は需要に生産が追いついていない状況が続いている。この取り組みが示したように、遊休農地の解消策の一つになる可能性もある。個人ではなく、養蜂組合を再構築する等して、町全体で取り組んでいく価値のあるテーマだと感じている。
〈当初の目的〉
大豆を地域の人々に栽培・収穫してもらい、その大豆を仕入れ、豆腐の生産・販売を手掛け町の特産品化を目指す。また、豆腐料理の研究も並行して進め、ヴィラ雨畑を訪れる観光客に郷土料理として提供していく。
〈助成期間中の活動状況〉
平成14年度に、最高額の助成金を受け、大豆栽培と豆腐づくりの技術研修、また豆腐を使ったメニュー開発を行った。
〈その後の活動状況〉
平成15年から町内外の観光施設や全町的に注文を取り豆腐の小売を開始した。また、豆腐御膳という豆腐づくしのメニューを開発し、ヴィラ雨畑にて予約制で販売を開始した。ただし、小売りに関しては、宿泊業との両立が難しく中止することとなった。
〈当初の目的〉
野鳥公園内にある自然観察路を再整備し、動植物・地形、生活遺構などを観察し、自然と人との関わりを考える「環境教育」の場を作ろうという取り組み。
〈助成期間中の活動状況〉
多くの人が鳥や虫だけでなく、それを取り巻く環境にも興味をもってもらえるような公園づくりを目指し自然観察路等の整備を目的とし活動を行った。具体的には、園内コース整備とともに、環境教育を実際に行っているアドバイザーの方にきていただき、観察路内の環境ポイントを確認し、それを元にセルフガイドシートを作成するなどの取り組みを行った。
〈その後の活動状況〉
自然観察路の整備とセルフガイドシートによってお客さんが気軽に園内を散策できるようになり、野鳥愛好家だけでなく温泉の行き帰りによってくれるお客さんも以前より見られるようになった。
また、定期的に自然観察会を開催し、整備した自然観察路を活用しながら、環境教育に取り組んだが、スタッフが1名しかおらずその活動もささやかなものでしかなかった。その後、平成20年より(株)生態計画研究所が運営を引き継いだため、スタッフ等も拡充され活動自体も活発化し、参加者も大幅に増加している。
〈課題や今後の展望〉
〈当初の目的〉
既存の店舗に手を加え、より多くの商品を置けるよう売り場面積を広げるとともに、遊休農地を利用し、販売可能な花や花苗、野菜、舞茸、山菜(ふき、わらび、こごみ)などを栽培し、観光客が摘み取れるような農園も設ける。
〈助成期間中の活動状況〉
平成14年度に助成を受け、プレハブとテントで応急的に建てられていた施設にテラスと屋根を増設した。テラスは農作物や山菜などの販売場所にもなっており、またおばあちゃん達との会話がはずむ憩いの場となっている。
〈その後の活動状況〉
助成期間終了直後は順調に売り上げも増えたが、不況による環境客の減少、また町内各所に直売所が新設されたこともあり、平成17年には売り上げがかなり減少した。しかし、ここ数年で店周辺の遊休農地を借り受け、ワラビやエゴマを栽培する等、商品数を増やし売り上げを回復しつつある。
〈課題や今後の展望〉
現在のメンバーは8人で、他にも野菜や漬物を持ってきてくれる協力者もいて、お店をやることが「楽しい」と感じている。ただ高齢者も多く、農地も含めこれ以上の事業拡大はなかなか難しいであろう。事業の維持継続と後継者の育成が課題である。
〈当初の目的〉
昔ながらのおもちゃを手作りし、町の施設やイベントで販売する他、おもちゃ教室・宿泊体験ツアーなどを企画して、子どもたちへの遊び文化の継承に努める。
〈助成期間中の活動状況〉
工具箱や小型木工旋盤等を購入し、「あそびの出前(イベント等への出展)」のために環境整備をした。
〈その後の活動状況〉
毎月1、2回例会を開き、イベント等で販売する「おもちゃ」を作ったり、「あそびの出前」についての話し合い等を行った。また町主催のまつりは勿論、各地の祭典や学校や公民館の「あそびの教室」にも協力したりしてきた。
〈課題や今後の展望〉
おもちゃの販売は事業としては難しいのが実情。イベントへの出張が主な活動だが、発足から10年以上経過し、体調不良等の理由から活動を休むメンバーが出たり、また平日は仕事で「あそびの出前」の要望があっても活動に参加できない人もいるなど対応できないことも多くなって来た。今後の方向性についても、議論していく必要があるだろう。
〈当初の目的〉
赤沢宿を訪れる七面山参詣客に提供されていた「赤沢そば」を復活するために、蕎麦打ち技術の向上に努め赤沢宿の活性化を目指す。
〈助成期間中の活動状況〉
平成14、15年度「虫の目」部門で助成を受けた。技術習得を図るとともに、イベントや実験営業などを通してPRを重ねてきた。
〈その後の活動状況〉
平成16年度末には集落の有志が集まり「赤沢そば組合」を設立し、平成17年7月7日に、集落内の空き家だった家屋を借り受けて自己資金で改装し、『そば処 武蔵屋』をオープンした。
現在、土日祝日に営業し(平日は予約制)、町並みや季節を感じることができるそば屋として観光客に喜ばれている。
〈課題や今後の展望〉
営業時間やメニューを増やしたい、また遊休農地を利用して地元産そばの栽培を行ってみたいという考えをもっている。これからも、多くの方の協力、支援により「おいしいそば」を作って行きたいとのこと。
〈当初の目的〉
やませみ団地、千須和(せんずわ)集落周辺の休耕田を団地住民と地元住民で耕作し、田畑作りを進めるなかで地域の親睦と活性化をはかりたい。また、集落内の休耕田を活用しブルーベリーの摘み取り農園を作りたい。
〈助成期間中の活動状況〉
ブルーベリーの苗を購入し休耕田に植えるとともに、山梨県の南巨摩農業改良普及センターから指導を仰ぎ、挿し木でブルーベリーを増やす技術を習得した。また、鳥獣害防止のための設備も整えた。
〈その後の活動状況〉
当初は生育が悪く最初は苦戦したが、現在はブルベリー150本が順調に育っている。事業としては、生の実の販売、実を加工したジャム販売、摘み取り体験の3つを展開している。生の実とジャムは町内の観光施設、近隣のスーパーなどで販売。摘み取り体験も国道52号や県道37号沿いに看板を立てる等し、積極的にPRしている。
〈課題や今後の展望〉
天候不順やズメバチやハクビシン等の被害によって、生産量がかなり左右されてしまう。虫や鳥獣害対策も出来る限りやっているが、なかなか難しいのが現状。
生の実とジャムの販売は、さらなる販路開拓が必要。摘み取りに関しては、近隣の宿泊施設等との連携が必要。
〈当初の目的〉
地元の早川北小学校の児童が毎年演じる早川町の民話劇を、絵本化し土産品として販売する。
〈助成期間中の活動状況〉
町内の奈良田集落に伝わる民話を題材にした「そま衆の休日」という本が完成。町営施設等で販売した。
〈その後の活動状況〉
その後も、早川北小学校の子どもたちが上演した民話劇を絵本化する取り組みを続けている。また、流木などを活用したオブジェや木版画を作成する等、その作家活動の幅は広がっている。
〈課題や今後の展望〉
今後も、毎年の民話劇の本を作成し順次発表していきたいが、新作の制作がなかなか進まない。また既刊本についても、どれも手作りの作品のため、制作がなかなかはかどらないことなどが課題。なるべく在庫を切らさないように心掛けたいとのこと。
〈当初の目的〉
100年以上品種改良されず、茂倉(もぐら)集落で大切に育てられてきた在来種「茂倉うり」を幻の野菜として普及していく。
〈助成期間中の活動状況〉
役場や上流研を通じ貴重な文化であることを町内外に宣伝、そして、南アルプスプラザで冷汁としてお客さんに提供するなどの地産地消の取組みも行ってきた。また、イベントや直売所等で、茂倉うりそのものや開発した「おじょうもん漬け」という漬け物を販売した。
〈その後の活動状況〉
直売所での販売は平成16年度まで続けたが、生産量が少なく単価も安いため事業として継続するのは難しいと判断し、やむなく中止することになった。その後は、上流研と連携しながら、通信販売で限定品として茂倉うりの販売を続けたり、茂倉ウリの収穫体験などのツアーも実施している。ただ、これも商売というよりは、茂倉ウリのPRという意味合いが強い。
〈課題や今後の展望〉
現在の規模では、商売としてはなかなか成立しづらいのが実情。ただ地域にとっては非常に貴重な資源である事は間違いない。まずは、集落で茂倉ウリを守り続けるという合意形成をする事が肝心だ。
また、特産品化等を目指すには、茂倉では種を取り、栽培は町内全域に呼びかけ生産量を増やすなどの取り組みが必要であると考えている。
〈当初の目的〉
天然物と遜色のない自然栽培によるマイタケを多くの人に味わってもらうため、オーナー制度、契約栽培など、販路の拡大と安定方法について研究する。
〈助成期間中の活動状況〉
まいたけの通信販売を開始。100件を超える注文があり、大成功を収める。
〈その後の活動状況〉
毎年、マイタケの通信販売を継続している。また、早川サポーターズクラブ物産会員(元・特別町民)約100名に毎年届けられ喜ばれている。
〈課題や今後の展望〉
天候によって収穫時期や収穫量が左右されるので、安定生産が難しい。また、メンバーの高齢化もあり、増産がなかなか難しい。今のところ、現状維持が精一杯と思われる。ただ、品質はとても良く、町の特産品となりえる可能性は十分に秘めている。
〈当初の目的〉
平成10年6月、建設省富士川フォーラムのために、しらいみちよさんが作詞作曲、また当日歌った「早川の四季」を、吹奏楽用に編曲し、町の愛唱歌として、広く人々に親しんでもらう。
〈助成期間中の活動状況〉
平成14年度のやる気事業では約8万円の助成を受け、「早川の四季」の作成・編曲、広報に関わる活動を行った。
〈その後の活動状況〉
早川ウインドアンサンブルとして、5月3日に行われる山菜祭りに毎年出演し、「早川の四季」を演奏している。
〈課題や今後の展望〉
早川町の美しい四季の様子が描かれている歌詞と、穏やかに流れる季節を感じさせる優雅なメロディーに、多くの方々に慣れ親しんでほしいと願っているとのこと。イベント等の出演の機会を与える等、町全体で「早川の四季」をPRしていく事が必要であると考えている。